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2037/02/18 |
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おーっす!いーっちゃん!おっひさー!今日も僕様ちゃんのこと愛してる―?by戯言シリーズ
おうおう、玖渚たんってのはやっぱ可愛いよなー!!
と、アンチ癒し系っぽく言ってみる。まだまだだねww
というわけで、戯言シリーズ読書中。ついでクビキルサイクルを読了いえいいえい。
いやあ、ネタバレサイトをこっそり見ちゃってはいたんですけど、それじゃすまないですね。
ちゃんと、グハッ!?ってなったもの。やばい、これが萌え?西尾萌え?みたいなにゃん。
とりあえず、古畑みたいなかんじで読んでいるのですが、まあバトルに変わりますし、それに関しては刺して気にしてはいないのですけども。
ちなみに一巻での最萌えはてる子さんですかね?
メイドキャラで萌えたのは初めてです。だけど、見た目とかキャラだったら深夜さんとかなんだけどビックリ。
あと、赤音、さんとかも、アリなんだ、けど……ねぇ?
最近は小説書けてないなー。
今日は、なろうで削除騒ぎになった物語シリーズの二次を再投稿しますけど、
ネクストとかしっかりかけないんですよね。
今回は原作でもあまり登場しなかったカラミを中心に持ってきたから、参考がありません。
困ってます。クマッてます。てか、ここでいつもなら言葉遊びとかするのに、不調だ―。
まあ、とりあえずしばらくは過去作入れてくので、皆みてね☆
凌物語
第螫話 『かれんクイーン』
001
気付けば僕、阿良々木暦含めた兄妹達は皆不思議な否、怪異に出会ってしまった。勿論、忍野曰く出会ってしまったというのが正しいのか分からないんだけど。そこにいてそこにいない、それが怪異だから。
まあそれはおいといて、上の妹は蜂、下の妹は鳥、そして僕は鬼。ここまで来ると、実は両親や一族もそう言うのに絡んでたりするんじゃないかとさえ思い始める。
それにこう並べると、僕は随分オカルトチックな存在と出会い、その当の本人?である彼女(今は名も失って、幼女と化している)は影の中で眠っている。
だが、改めて思う。
いくら僕に限らず、様々な人間がまざまざに出会いや新たな経験を経たとしても、自分のことや自分と誰かとの圧倒的な差や関係性と言うのは、明確に判断できるようにはならないし、埋まったり離れたりするものでもなく、さらに言えば僕はあくまで僕なのである。オンリー僕だ。
それは、僕の友人である羽川や僕の彼女の戦場ヶ原であっても同じであり、彼女たちに対して、ああ変わったなぁとは思ったとしても、それは経験とか出会いとかとは別で、彼女たち自身の努力の賜物とでも言えるのではないだろうか。
彼女たち自身が、今の関係性を結び、紡ぎ、続けているのだと思う。
あくまで、出会いや経験とはきっかけで、それ以降の変化と言うのは自分のせいであり、あわよくば自分のおかげなのである。
これは、忍野の勝手に助かるだけ、と言う話に通じる部分もあるのかもしれないな、と思う。
さて、長くなった。
いやはや、要領がつかめないだろう。正直僕としてはこんな意味もなく、むしろキャラ崩壊ともいえるし、原作ブレイカーともいえる発言には驚き呆れるばか りである。でも、人間考えなんて変わるモノだし、その場しのぎの考えでおかしな発言をして矛盾をし続けることだってあるはずだ。
今回の話も多分その場しのぎになるんだろう。いや、その場をしのぎたくて頑張った結果、矛盾を指摘され情けなくも枕を涙で濡らすようなことになるのかもしれない。
それは、彼女次第だ。
結局、なにが言いたいのかと言うと、いくら僕が怪異の中の王との出会いをきっかけに、わずかに鬼となってしまったとしても、目の前にいる下の妹がもつ釘バットはどうあっても怖く、恐ろしく、凌ぎたいのだ。
002
どうしてこうなったのかを振り返るには、今日と言えば今日になるのか深夜の零時まで遡らなくてはならない。
僕はいつも通りの受験勉強。戦場ヶ原や羽川による休日や放課後の個人授業の賜物か、規則的な学習時間が身体に執着してくれるようになった。
今は、ひたすらに、がむしゃらに書く暗記学習だ。もしかしたら、彼女達からしたらナンセンスとは言わないまでも、多少ばかり無駄呼ばわりされることも否めない。
そもそも、彼女達はどのようにしてモノを覚えるのだろうか。いつだったか、教科書丸覚えを春休みのうちにしてるとかなんとか。もはや、癖とかそういうレベルなのだろうか。なんとも、羨ましい癖である。
しかし、どうだろう。彼女たちに聞いてみるというのは。羽川だったら、
「え、憶えるだけ、だと思うけど……。きっと、阿良々木君でも出来るわよ。あ、でも新聞の広告なんかで記憶術講座みたいなのあるよねー。私が知っているのは……」
……鮮明すぎる。今、僕の目の前に羽川がいた。目の前は机だけど。机 on 羽川。あれ?どうもエロくないか、絵面的に。
というか、冷静になると、何でもは知らないわよ、知ってることだけがキャッチコピーの羽川翼が利用している記憶術なんてやったら、僕の脳内キャパはすぐにでも吹っ飛びそうだ。ギリギリまで吸血鬼化しても無理だろう。
なら、戦場ヶ原。……聴くだけ無駄だろう。いや貝木の件以来、最近は強烈なデレモードに入ってるわけなのだが、妙な刺激で元に戻るかもしれない……。
って、何故僕は自分の彼女にビクビクしなきゃいけないんだろう。恐るべし、ツンドラヶ原さん。
「はあ、こんなこと考えてるなんて、集中できてない証拠だよなぁ……」
と、僕はぼやき、改めて机に向かおうとするとトントンッと部屋のドアがノックされた。
「誰だ?」
今現在、いつもなら親は就寝しているころだ。珍しく起きていたとしても、僕のために何か夜食を作るということもないだろう。冷たいわけではないが、妹達 と違って放任気味なのだ。まぁ、落ちこぼれるところまで落ちこぼれた僕なのだから、しょうがないと言えばしょうがないのだが、などと、随分と対句を並べて しまった。
話に戻ろう。
というわけで、親はありえない。ならば誰だ?まさかのヴァルハラコンビか?……あながちあり得ないと言い切れないのが憎い。特に、あのバスケ少女の方は、容赦なく窓とかからでも入ってきそうだしな。昔ならヶ原さんも同じくだ。
というか、何故、僕はノック程度でビクビクしなきゃいけないんだ。……いつも夜な夜なやってる時の癖か?あー、確かにあり得るな。あの、パツキン幼女との会話の時なんか。
ホント、ビクビクしなきゃなんねぇ。アイツいつも前触れなく―――
「アタシだ、兄ちゃんあけてくれ」
ガチャリ。
僕は気付くと鍵を閉めていた。
何故だろう、幻聴が聞こえた。『アタシダニイチャンアケテクレ』などという幻聴が聞こえた。いったい何語だ?もし、英語ならきっと僕は今すぐ英語をやり直さないといけないだろう。
「開けろよ、兄ちゃん。開けないと明日から一人でHなこと出来ない部屋にしてやんぞ?」
それは、世の中の男子に対しての脅迫でしょうか、マイシスター。
僕は震える手で何度もミスりながら、扉の鍵を開けた。
すると、そこにいたのは……地上に舞い降りたエンジェルだった。
「兄ちゃん、どうしたんだ?そんな得体の知れないようなものを見る目でアタシの胸を見て」
いやいや、何を言ってるんだ僕は。コイツは妹じゃないか。ただ、暴力的なまでに悲鳴を上げているパジャマを着て、何故か四つん這いになって上目遣いをし ているだけのマイエンジェル……いやいや、上の妹の火憐ちゃんじゃないか。しかし昔見た、羽川のパジャマ姿も暴力的だったが、なんなんだこれは。羽川のは 健全に自分のサイズを理解したうえで着ているというのがわかるデザインなのだが、コイツのはどうみてもシンジ君が人造人間に乗る時に着ているあのパッツン パッツンのものよりもっとパッツンパッツンで、むしろダイビングスーツにも似たパッツンパッツン状態なのだ。体のラインがはっきり出ていて、裸でいるより 背徳的なのに、それに加え、明らかにデザインが中学3年生が着ることのないような、いやむしろこの豪傑少女が決して着ることのないような可愛いネコのデザ インをしているギャップが凄い。むしろ、こういうのは八九寺世代が着るようなものだろう。あ、ネコが引き延ばされて動物パンツみたいな感じになってる。
「兄ちゃん?」
「ど、どどどどどどうした!我が妹よよおよっよよよよよよおおお!!!???」
「そんな、あからさまな動揺してます的な様子を見せられても。まあ、これでも飲んで落ちつけよ」
そう言って、立ち上がりながら取り出したのはラベルが剥がされているペットボトルだった。中身はコーラよりも黒々しい。むしろグログロしい。え、なにこれ。化学兵器?
「……なんだよ、それ。まさか、それを僕に渡し(ころし)に来たのか!?」
「あ、それとは別用だけどさ。とりあえず、落ち着かせるためにこれやるよ。ファイヤーシスターズの情報ラインから引き出した最強の秘薬さ!」
「待てっ!秘薬だと?どう考えたって危険物じゃねえか!?大体、こんな夜更けに薬渡されたら、如何わしいイメージしかねえよ!!」
「それは兄ちゃんだけだと思うし、アタシはそれでもいいけど。てか、扉開いてんだから、あんま大きな声出すと……」
ドンっ!!
と、隣の部屋から壁を叩く音がした。ボロアパートの住人かよ。
「ほら、月火ちゃん怒ってんだろ?まずは中入って、それ飲んでみようぜ?」
「いや、飲まねえよ。怖いもん、色もさながら水面でヘドロみたいな気胞出してるもん」
と愚痴垂れつつ、火憐ちゃんを部屋に入れる。今思えば、これがすべてのはじまりだったのだ。とはいっても、始まりにならなかったことはない。なぜなら、この妹……達だからだ。
「それで、なんだよ。大分落ち着いちまったぜ?騒いだし」
僕と火憐ちゃんは部屋に入り、何故か先に机のイスを取られたため、仕方なく僕はベッドの上に座る。僕が、このように話すと妙に火憐ちゃんは嫌そうな顔をする。
「え、兄ちゃん飲まないのかよ」
「明らかに妖しいだろ、これ。というか、卑しいものにすら感じるわ!!」
「べ、別に怪しいものとかじゃないんだからねっ!!」
「新手の誘拐犯キャッチコピーっぽいな、それ」
「それで、その中身だけどさ」
「おいおい、今の突っ込んでくれないと、まるで僕が滑ったみたいじゃないか」
「その中身だけどさ」
「ああ、いいよもう。うん、進めて」
無視されるのが、僕みたいな人種にとって一番つらい事だって分かってやってんのか、コイツ。
「まあ、アタシの話を聞いてくれよ。兄ちゃんの一生を左右する情報かもしれないじゃねえか」
「既に似たような振りをじゃんけんの時にされているから、特に危機感を覚えないんだが。それで、なんなんだよ。その中身って」
「実は、一種の精力強壮剤なんだよ」
「やっぱ怪、卑しいモノじゃねえか!!」
兄として、これを捨てにかかろうとすると、僕は首根っこを掴まれてベッドの上に戻される。どんな巨人作法だよ。
「いやいや、聞いてくれよ兄ちゃん。別にそれは副効果であって本来の目的とは違う。確かに似ていることには似ているけど、大分違うんだ」
「なんだよ、火憐ちゃんにしちゃ随分回りくどいな。一体これはなんなんだっていうんだよ」
「実はな」
「ごくり」
とりあえず、この緊張感に乗ってみた。まあ、十中八九下らないことなんだと思うけど。
「大きくなるんだ、背が」
「おっしゃあ!!阿良々木暦、一気いっきまーす!!」
「兄ちゃん。まだ気にしてたのかよ。てか待って兄ちゃん。まだ、話を聞いてくれ」
なんだよ、この僕の奇跡の瞬間を邪魔する気か?もしこれで少しでも伸びたら、僕は火憐ちゃんのことを一生愛してるぜ、マイワイフ!!なんてヶ原さんの前でも言ってのけるぜ?あ、ごめん。やっぱなし。
「ヶ原さん……?いや、それはそれで魅力的な話だけど、待ってくれよ兄ちゃん」
「すまん、火憐ちゃん。男には、いや漢には待てと言われても待てずに慌てて行く時があるんだ。わかってくれ」
「それは単なるせっかちな人だから。そんなハードボイルドな表情決められても困るし」
「じゃ、逝くわ」
「に、にいちゃあああああん!!」
ドンッ!!
「「あ、すいませんでした」」
隣の部屋からのブッ殺すぞサインに、思わず二人で壁に向かってジャンピング土下座を決めた。しかし、僕は諦めない。そのまま、僕はペットボトルの中身を呷った。
「あ、兄ちゃん」
「んぐ……うぐ……グフッ!!ぷはあっ!!ひ、ひっでえ味」
我が身長の為とばかりに、いっきに飲みほそうとしたが、あまりの味に半分ほど残してしまった。プラスチックを流動化して飲まされたような、毒とはこうい うものなのかってわかるような、いや待て。料理下手のロリ少女が作ってくれた……いや無理!というかこれ飲んで大丈ぐはあっ!!
「に、兄ちゃん!!」
「か、身体が熱い。ハァ…ハァ…。や、ヤバイ。痙攣が止まらねえ!」
身体がミシミシ音を鳴らしているのを感じる。ま、まさか、本当に背が……!!
「に、兄ちゃん。なんなんだよ、その身体……」
「コフーコフー」
「戸愚呂(弟)になったー!!」
こふーこふ、こふーこふー。んぐっ、ぐはあああああ。
「あれ、またもとに戻ってく。効果は一時的なものってことかな?」
「ハァ…ハァ…。お、お前……」
「いやぁ、そうなるとは思わなくて……メンゴ、兄ちゃん☆」
「メンゴじゃねえ!!」
僕が半ば吸血鬼だったからよかったものを。吸血鬼の『理想的な体型を維持する』力がはたらいたのだろう。とはいっても、一応一瞬とはいえ背は高くなった し、コイツの言っていたことはあながち間違いではないようだ。しかし、なんでまた戸愚呂(弟)なんだよ。どうせならバキとか読めよ。
……ん?待てよ僕の背が伸びないのはまさか、この力のせいなのか?僕にとっての理想はここまでなのか!?ふざけんな!もっと理想を高く持てよ、僕!!
「大体、こんな劇薬どこから仕入れてきたんだよ。てか、すげーよこれ。ドーピングなんて目じゃないぜ?」
「なんかなー、二つルートがあって」
「二つ?」
「それがもう奇跡的に同時的だったのさ!」
「いや、内容を言えよ」
この妹と会話するといちいち止まるから疲れる。
「神原さんと月火ちゃんそれぞれに教えてもらった」
「期待を裏切らない人物らだ!!いや、まあお前の交友関係を把握しきっているわけじゃないけど、大方予想通りだよ!!」
「神原さんの時は、この前遊びに行ったんだけど、誘われた理由が『媚薬が手に入った。試してみたい』ってきて」
「いやお前、そこは行くなよ。女子として危機感に抱けよ」
まあ、相手も女子(百合、変態などなどが付属)ではあるんだけど。まだ、そこまでカミングアウトしてないのか、アイツ。一応、手は出すなとは忠告しといたけど。
「危機感っていうか、むしろ神原さんには抱かれてもいいかなって思って行ったぜ」
「むしろ覚悟の上だった!!男らしい!!いや、男らしいのか?この場合。てか、アイツ結局カミングアウトしまくりかよ。むしろ開き直ってるレベルじゃねーか」
「そしたら」
「飲まされたか、飲んでいたアイツに遭遇でもしたのか?」
「いんや。誰だっけ。なんかすげー綺麗なお姉さんもそこにいて、発情してハァハァ言ってる神原さんを宥めてた。危険だからって」
「飲み物の危険性に悟っているのか、神原の危険性に関して言ってるのかわかりづらいな。というか、神原を止められる奴って」
「あ、思い出した。戦場ヶ原さんだ」
キタアアアアアアアアア――――――!!!!原作とはまったく関係ないところでメインキャラ同士と遭遇しちゃってるよ。まだ妹達にはアイツのこと教えてないけど、余計なこと言ってないだろうな。てか何、あの人なにしてんの?
「なんでも、只でさえ阿良々木先輩の妹さんということで、想像しただけでも自分の理性が抑えられなくなっているところに、媚薬を使ってしまったら、もう自分で自分を止めることはできないだろうから、その場で慰めて欲しい、って頼んだらしい」
「アイツ、人の妹の前でナニやらかそうとしてんの!?」
「でも、あの戦場ヶ原さんって人カッコよかったぜ?兄ちゃんも知り合いらしいな。なんでも、よろしくって伝えてくれって言ってたぜ?あの時の笑顔も綺麗だった」
外堀から埋めようとしてるぞ、マイガールフレンド。兄妹揃って陥落かよ。すげーなヶ原さん。というか最近は見せるけど、それでも中々見せない笑顔を彼氏の妹にむけるなよ、嫉妬するじゃないか。
「そして、エロかった」
「事後かよ!?え、マジ?やっちゃったの?」
「んなわけねーじゃん。アタシちゃんと彼氏いるんだぜ?二人がしてるところを見ただけだよ」
「そっか、よかっ……じゃねえよ!!なにやってんの、ホント!!クソ、アイツらには説教が必要だな」
特に、神原への。あ、ダメだ。喜ぶもん、むしろ悦ぶもん。てか、ヶ原さん彼氏いるのに何やってるの?やっぱ怒るべきだよね、僕。
「じゃあ、月火ちゃんからはまたどうしてその劇薬をもらったんだ?」
「んー、何。知りたいのかぁ、兄ちゃん」
「イラッ☆」
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
「僕が火憐ちゃんからマウントポジションを取ったと思ったら、逆にマウントを取られてベッドに転がされていた」
な…何を言っているのか、わからないと思うが僕も何をされたのかわからなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を、味わったぜ…。
「って、なんじゃこりゃあ!!」
「いや、兄ちゃんが急に襲いかかってきたから、やりかえしてやろうと」
「どんな、過剰防衛だよ!!え、マジこれ何。体が動かないんだけど」
「そりゃあ、重点を押さえてるからなぁ。……フフフ、兄ちゃん。そんなに妹が襲いたかったのかい、球筋に出てるぜ」
「お前、あのラジオ聞いてたのかよ!いや、僕もたまに聞いてるけどさ!!つーか襲うつもりなんかなかったわっ!!それより、この状態で球筋とかいうのやめろ!!」
服も相まって、なんか妙に意識してしまう。な、なんなんだこれは……。いやいや。待てよ僕。素数を数えるんだ。コイツは妹だぜ?しかも、義妹じゃない方 の妹だぜ?いや、義妹の方も同じ扱いだが。いや、それはさておき、コイツはいわゆる筋肉バカだ。憎たらしい事に僕より背が高いし、僕より背が高いし!!大 事なことなので二回言いました!!……ふぅ、ダメだ。なんとも思わねーや。よかったな火憐ちゃん。お前は見た目や仕草なんかより、妹としての可笑しさの方 が勝ったんだぜ。まさに、妹としての誇りだ。うんうん。
「グハッ!!何しやがる!!」
思いっきり鳩尾ぶんなぐることないだろ!!
「今、兄ちゃん。ムカつくこと考えてたろ」
「いやいや、何のことやら。大体思ってたとして、何でわかったんだよ」
「女のカンだ」
「え、お前にもあったの?いたっ!!いたっ!!すいません、すいませんでした!!」
やばい、なんで全身に痛みがまんべんなく走ってんだよ。怖すぎるわっ!
「んで、どう知ったわけ?」
「たしか、月火ちゃんの知り合いが持っていたのを試供品的な感じで月火ちゃんが貰ってしまったらしく、いらないからあげるってことで」
「知り合い?ていうか、名前とかあんのか?なんかないと中毒性とかあって怖そうだ」
「あーたしか、もらったのはクド、ニャフラック?」
「いや、聞くなよ。だけど、それは絶対間違いだと思う」
どこの保険会社だよ。
「んで、この液体がマッスルエクササイザー!!」
「……かっけーな、おい!!」
名は体で表してるって言うけど、やばすぎだろ、もはや言いえて妙!
しかし、火憐ちゃん。絶対それ響きが気に入っただけだろ?
「とりあえず、捨てて……いや待とう。流した瞬間世界が滅亡してもいいって冗談に出来ないレベルなのに、捨てていいものなのか?」
「てか、兄ちゃん。これ、他の動物にも効くみたいだよ?」
「最悪、どっかのB級映画みたいな動物VS人間なんてのが……」
恐ろしすぎる……、忍野のお陰で妖怪大戦争は回避できたのに……。
「と、ととと、とりあえずどうしよう……」
「兄ちゃんが飲むしかないな!」
「さ、今日も勉強勉強っと」
「ほら、グイッと」
「いかねえよ!!」
「アタシのジュースが飲めにゃいというのかにゃん?」
「あざといわ!!」
おい、やめてくれ。ただでさえネコが嫌いなんだからよ。嫌いな妹がやっちまったら憎さ余って殺意佰倍だっつうの。
「とりあえず、その飲み物は月火ちゃんと神原に返してこい。兄ちゃんも一緒に言ってやるから、な?」
「いやだいやだ、この飲み物はアタシが兄ちゃんに飲ませるんだぁ!!」
「頼むから、ネコが少しでも関連してくるネタはやめてくれ!!」
ペットでよくあるやり取りかって。
胃が痛い。絶対さっきの奴の副作用じゃない。コイツのうざさが原因だ。てか、吸血鬼の再生度を上回るウザさってなんだよ。
阿良々木火憐。
様々なところで吸血鬼に勝つ女。リアル怪異殺しかっての。
閑話休題。
というかいい加減、章を変えよう。
ずっと目を反らしてきた、しのいできたものがある。僕だって半分は人間だ。そういうときもある。認めてやって欲しい。
つまるところ、この筋肉旋風(マッスルセンセーション)は嵐のように去っていかせなくてはならない。ぶっちゃけクッションだろ。目を反らしてたが故だけども。
僕は、十分に警戒をする。
どうせ碌なことじゃないのだ。いや、碌だったことなんて、この妹と暮らしてきた14,5年間で一度でもあっただろうか。
まあ、前振りが長すぎたようだ。僕は目どころか身体を反らし、いや今まで作っていた空気をしのぎ、欠伸をし、余裕たっぷりな表情を作り、こう尋ねた。
「火憐ちゃん、その服どうしたんだ?」
003
阿良々木火憐は女っ気がない。いや彼氏はいるんだし、別にないわけではないのだろうけど。しかし、今思うとその彼氏とやらはこの馬鹿のどこに惹かれたと言うのだろう。
いつもジャージでやることなすこと男らしい。
またこれは僕自身もそうだし別に悪い点ではないのだが、彼女の背の高さであろう。悔しい事に、戦場ヶ原と僕では恐らく彼女の方が背は高い。彼氏とやらは 彼女の背の高さに惹かれたのか、それとも僕みたいに好きになった女性が大きかったのか。もし後者なら僕との共通点があることになってしまうので、それは出 来る限り慎んでほしいところだが。というか、さっきから彼氏の背が低いなんてことをデフォとして話してはいるけど、実際会ったことないし(会ったら殺しそ うだ)あくまで仮定話である。
さて、僕はついにようやく僕の体から降りた彼女に現時点での服装について問い質すことが出来た。
初見の通り、常に悲鳴を上げ続けている彼女のパジャマ。そういえば、こうして視線を下げてみるとヘソ出しルックみたいな感じになっていて、もはや防御や 防寒のの意味をなしていなかった。まあ、夏だし大丈夫かもしれないけど、あったかくしてくれ。お前が風邪を引いてしまったら、またあの日の過ちが再燃す る。というか想像しただけで嫌になってきた。
「ん?兄ちゃん。どうしたんだ、妙に唇を気にしてるみたいだけど」
「いや、なんでもない。というか質問に答えろ。どうしてそんな外出た瞬間痴女扱いされてしまう様な服を着ている?」
妹を痴女扱いされてたまるものか。ただでさえ、馬鹿で通ってるんだから。僕にだって老婆心くらいある。
「あーそうそう。今夜ここに来たのはこれが原因なんですよー」
「妙にヘコヘコし始めたな。どうでもいいが、お前がそうして馬鹿みたいに頭を下げるたびに、馬鹿みたいに胸が強調されてるからな、馬鹿みたいに」
よくテレビで見るやたら胸ばっか強調してくるグラビアアイドルを見ている気分である。
「きゃ、兄ちゃんのエッチ!」
「…………」
なんか、一気に萎えたのはどうしてだろう。
「てか、それどう見たってお前のじゃねえだろ。……でも、月火ちゃんのでもなさそうだな」
柄が子供っぽ過ぎる。というか、アイツは浴衣一択だし。
「これは、あれだよ」
「なんだよ」
「アタシんだよ」
「ま、マジで!?」
今世紀最大の驚きである。あの怪異の王の件すら超えたんじゃないか!?ジャージと制服以外の服を持っていただなんて……。
この前の神原の家に行きたいがために着たミニスカ(本当は普通のスカートなのだが)は元々月火ちゃんのだったし、ノーカンというわけで。つまり、本邦初公開、阿良々木火憐の彼女自身の持つ私服姿である。パジャマだけど。
「昔お母さんに買ってもらった小学生のヤツだけど」
「入るの!?いや、違う。ツッコミを間違った。バカだろ、お前!!」
オチがあるのは分かってはいたが、まさかそのような着地点だったとは。コイツのバカさを侮っていたぜ……。
「おいおい、バカって言うなよー。ほら、あれだよ。リフューズだよ」
「なんで、いまいち有名じゃない『購入拒否』が出てくんだよ」
それを言うなら、リサイクルだ。最近はあれって、3Rよりかは4Rなんだよなぁ。いつだかのCMの影響ってのもあるけど、実際に訳を知ったら、確かに一番重要だよな。リフューズ。
「あーそれそれ。なんかさ、今日なんとなく服の整理をしてたら奥からこれが出てきて、買ってもらったっきり殆ど来てないことに気付いたアタシはこれは着るべきだなぁ、と」
「むしろ、切るべきだよ」
切って、なんか新しいリサイクル商品作った方がそのパジャマにとっても有意義だ。
聞いてみろよ、そのパジャマの悲鳴を。正義を語るファイヤーシスターズが悲鳴を聞き逃し過ぎだろうが。
「む、それは聞き伝ならねえな」
「いや、伝ってなんだよ。聞きまくる伝説みたいになってるじゃねえか」
ちゃんと『ずて』にしろ。活字だと、『づて』というよりは『でん』ってみえちまうだろうが。
「アタシだって、無理に着たくはないんだ。ちゃんと、理由があって着たんだ。そしてその企みは達成目前としている」
「正義の味方というより、悪の女幹部みたいなこと言いだしてるし」
「兄ちゃん、アタシに見とれてただろ?」
「見蕩れてなんかない」
「嘘つくなよ〜」
「見惚れてたんだ」
「そこまで!?」
いや、どっちも『見とれる』にはちがいないけど。
「ああ、見直すどころか、惚れ直しちまったぜ。火憐ちゃん」
「本当か?エヘヘ……」
な、なんだ、この可愛さは。適当に褒めといて早く勉強に戻っておこうとか考えた上での策略であって、口がら出たその場凌ぎの嘘……ああ、そうさそれも嘘の嘘のホントの嘘さ!!
と、とりあえず、僕の本心とは異なる気持ちを伝えたところ思わぬ反撃を食らってしまった……!!
「じゃ、じゃあ、兄ちゃん!アタシの事、好きか?」
「も、モチロンサ!」
ヤバイぞ、余りの可愛さに僕の口が妙に回っている。あ、間違った。曲っている。
「あ、愛してる……?」
「お、おう!!当り前じゃねえか!!」
「に、にいちゃあああん」
「火憐ちゃあああああん」
ドンッ!!
「「あ、ごめんなさい」」
また、怒られてしまった。二人で土下座どころかうつ伏せ前傾。まさに平謝りである。すると、僕に一通のメールが来た。
『From:月火ちゃん
title:仏の顔は三度まで。月火の顔はX度まで。
朝を、迎えたいか?
』
「「恐ろしすぎる!?」」
僕と、それを脇から覗いていた火憐ちゃんと二人で怯える。もはや、あのXには何を代入するかも恐ろしく感じる。まさかもう過ぎてるんじゃないだろうな!?あのヒステリック娘ならX=1だって十分あり得るんだぞ!?
「ここで、お開きにしないか?火憐ちゃん」
「クックック、だからこそ今、兄ちゃんに本来の計画の全貌を語ろうと思うのじゃ」
「なん……だと……」
思わず悪乗りして先に驚いておく。おいおい、こんな状態でもまだ推し進める気かよ。頼むよ、明日の朝にしようぜ!?僕死にたくないもん。朝日を気持ちよく浴びたいもん。吸血鬼だけど。
「それで、なんだよ。また頼みごとか?」
「う、うん……」
なんか急にシオらしくなりやがった。妹二人して何故危険度がバカ高い方向の伏線ばっか落としていくんだぁ!?大丈夫だよな。どうせ、あれだろ?最初の冒頭だって夢落ちとかそこらへんだろ?頼むからそうしてくれ、作者!!
「あ、あのさ……」
「な、なんだ……?
「兄ちゃん?えっと、私とHしよう……?」
夢に違いない。
004
今、なんて言われた?Hしよ?Hってなんだ?そもそも、どういう意味で言ったんだ?この我が大きい妹は。アルファベットの8番目?それとも、水素のこと でも言ってるのか?いやいや、別に少し頭を捻れば分かるじゃないか、阿良々木暦。ツッコミの百戦錬磨だろう?あの、癖のある友人達と渡り歩いてきたじゃな いか。いける、僕ならこんな時どう反応すれば分かってる。よーし。
「それなんてエロゲ?」
「は?何言ってんの兄ちゃん」
選択肢ミス、だと!?ここでか?一番高難度のヒロインを落としたこの僕が!?いやまあ実際そのヒロインともう一人にしか相手にされてないんだけども。
八九寺?あ、大丈夫あれはもはやフィアンセに近いものだから。決定事項なのさ!!
「あれ?メールだ。ごめん火憐ちゃん。僕の選択肢についての議論は少し待って」
そのメールは戦場ヶ原だった。こんな時間に?開くと短くこんなことが書いてあった。
『阿良々木くんと結婚するのは私なんだからねっ☆』
まさかのプロポーズ!?
っていや違うだろこれ。暗に僕の調子乗っていたところを諌めにきやがった!?
え、なんでわかるの?監視されてんのかよ、僕!!
「怖いよ―。火憐ちゃん、怖いよ―」
「急にどうしたんだ?メール見た途端おびえ出して。また月火ちゃん?」
「いや、なんでもない。ただ、恐ろしい何かに監視されてるだけだ、くっ!?」
「なんか、また兄ちゃんの厨二病が再発してるっぽいけど、まいいや。……なあ、兄ちゃん」
「ん、なんだよ」
「隣、座ってもいいかな……?」
「なっ!?」
こ、これが火憐ちゃんなのか……!?
僕の隣に座ると、火憐ちゃんは僕の肩に頭を預けてきた。心音が何故か高まる!
「そ、そそそれで、なんだよ。言葉通りにとっていいのか?」
「う、うん」
なぜだろ。わっふるわっふるという単語が僕の目の前をニュースのソースみたいに流れて行っている気がする。
ヤバイ、ドキドキが止まらない。いや、もはや心臓の音は鈍くなっていくほどで、動悸動悸が止まらない、といっても過言じゃない。
「あ……」
気がつくと、僕は火憐ちゃんを優しく倒していた。火憐ちゃんも息が漏れる。
僕は童貞だ。
ああ、そうさ。開き直ってやる。この前の7月の末にヶ原さんと良い感じになったときだって、緊張と疲れのあまりにただのお泊まり会になってしまった僕 だ。もっと遡ればGWの時、そして春休みのあの時、羽川に対してヘタレてしまうし。……ふ、ふん。そんなのは過去の自分だ。変えられる!自分は変えられ る!!うおお、行くぞ、僕!!妹?そんなの知るか!僕は阿良々木暦だ!!よし、よし!!モチベーションが上がってきたぞ。これならいける。ヘタレない。そ う、よい子のみんな。ここでしばらくページを飛ばしてくれ。アダルティな皆は、このままみても構わないが、このようなアブノーマルを見ていいのか?続けて みるようなら僕と同じ変態として社会から崇め奉られるんだぞ?…………いいんだな。よし、僕と皆は同志だ仲間だパーティだ!!さあ、いくぞ。レッツパ アァァ―――――、
「って、んな訳あ―――――」
「さっさといかんか、騒がしいわい!!」
「ゴハッ!?」
あれ、僕良い感じのノリ突っ込みをかまそうとしてたよ?妹とH?ばっかじゃねえの?そんなことしてたまるか。俺の大事な童貞はコイツらなんかに挙げられ るほど安いモノじゃないんだよ。そう、あれはフェイクだ。ある意味初歩的な叙述トリックさ。皆を騙してたんだぜ?……同志?仲間?どうせ、男だろう?ハ ハッ、そんなのお弁当を毎日作ってきてくれる幼馴染キャラには敵わないんだよ!!因みに、僕的には『おいおい、何言ってんだよ火憐ちゃん。なんか裏が、あ るんじゃないのか……?』みたいなシリアスに入って行こうと思ってたよ。ああ、ゆらぎないね。ほら、GWの時もそうだっただろう!?なのに。そう、なのに だよ!!
お前が騙されてどうすんだよ、忍さんよォ!!
「に、兄ちゃん!?」
というか、今凄い僕助かってない?丁度、火憐ちゃんを覆う感じになっちゃって、後ろにいるだろう忍に気付いてないみたいだ。万事休すだったね。分福茶釜 でさえぬるま湯こぼしながら逃げてく幸運ぶりだよ。あーよかった。これ以上問題をややこしくしなくて済む。僕は、火憐ちゃんの耳を塞ぎ、念には念を入れて 目を閉じさせる。火憐ちゃんも突然の怒涛すぎる展開によく分からなくなりつつも従ってくれる。Mカッコよくてよかった。
僕は首を動かし、ギリギリな感じで金髪幼女である忍の方を向く。
「おい、忍さんよぉ……?何してくれとんねん……」
「ぬ。じゃって、お前様の妄想がうっさいのじゃ。影まで響く」
「ああ、それはすまん。でも、タイミングってあるんじゃね?」
「いやいや、そこはお前様。儂に感謝して欲しいのう。後押ししてやったであろう。ほれ、ミスドミスド☆」
「か、可愛いだと?……じゃねえよ!!あのな、忍。僕だって、そこそこ考えて行動してるんだぜ?ほら、読書サービスだよ。僕も叙述できますよって言う」
「むしろ、さっさと襲ってしまった方が、サービスになるのではないかの……?全く、こちとら昼にDSやり過ぎてようやく寝ようかな、と思ってたところじゃったのに」
「もはや不健康系幼稚園児じゃないか、それ」
元怪異の王どころか元吸血鬼の名も泣いてしまうぐらいの俗っぷりだ。
「そろそろ、ぱそこんとやらの組み立てを覚えるかの……」
「僕の部屋以上のスペックを取り入れるな」
僕だって一応欲しいんだぜ、パソコン。
「それで、どうするのじゃ?」
「何がだよ」
「お前様の大きい方の妹君、怪異に呑まれておるぞ?」
005
「行燈蜂」
そう、忍が言う。
「また、蜂かよ。コイツ蜂に好かれやすいのか?」
などと、僕は軽く項垂れる。因みに、火憐ちゃんには話が長くなりそうだったので、アイマスクと耳栓と縄を忍から借り(物質創造能力より)、彼女を封じて おいた。火憐ちゃんはある意味いつも通りというべきか呆れるべきか、恍惚とした笑顔で従順と従ってくれた。今でも、絶対アニメ化したら条例に引っ掛かりそ うな表情を浮かべている。
「うむ。そこら辺の因果は知らんがの。とりあえず、そう言う名の怪異に呑まれておる」
忍はどこか凄惨な笑顔を愚妹に向けつつ、僕にそう言う。
「他にも確か『誘致蜂』『針促し』『誘い蜂』『攫い女(むすめ)』などと呼ばれてるそうじゃ」
「なんというか、『誘う』とか『促す』って言葉が多いな」
「まあ、そこらへんは怪異らしく名を体で表していてわかりやすいのじゃが。詳しい文献は知らんが、要するに、この怪異に呑まれた女―――そう女限定でじゃ―――は、『誘う』のじゃ」
「誘う?何をだよ」
「男に決まっておろう。相変わらず、鈍いのう主様は」
ひらひらと、手を振り小馬鹿にする幼女。因みに今の僕らの体勢は僕がベッドに座り、その膝に乗るような形である。何故だ……?
「知っておるか、お前様。蜂というのはの、最強の多夫一妻制なんじゃ」
「あー、そうらしいな。巣に一匹しかいないって話だろ?」
「つまり種の保存の為に、日夜男共を誘い生殖活動に励まねばあらぬ」
「そこがルーツってことか?」
「小僧曰く、そういうことらしい。だから、女子にしかなれんのじゃ」
「それで、人間にはどんな影響を与えるんだよ」
「はあ、我が主様はもう少し察しがいいと思って負ったが脳」
「活字でしか分からないような罵倒をするな」
すると、忍はぐるりと僕の方に向き直り、体は幼女である癖に、どこかあの大人形態の頃の様な妖艶な雰囲気をかもしつつ僕の右耳に向かってそっと囁いてきた。
「誘うんじゃよ、男を。魅惑の雰囲気で男を誘い、二人きりになる様に攫い、性交を促し子を孕もうとさせる怪異」
「んっ!」
なのじゃ、と忍はカプリと耳を甘噛みする。
「まあ、ぶっちゃけて言えば、『針促し』の針は男のアレの事だのう。昔の人間は上手い事いったわい。」
と、カンラカンラと笑う忍。僕は終始ドキドキしっぱなしである。というか、お前も昔の人間、いや怪異じゃないか、年齢的に。
「さらに言えば、男もその女を見ると興奮してしまう。確か、今で言うところのフェロモンを発しておるらしいのじゃが、ふむ、お前様には関係ない事であるみたいじゃな。はしくれとはいえ吸血鬼だ、といったところかのう」
まあ、ノリツッコミが出来るくらいの理性はあったしな。でも、今思えば今日の火憐ちゃんにはどこか『妹』らしくないオーラは漂っていたかもしれない。
「行燈蜂は、蜂といっても蜂の形を有しておる怪異ではない。これは小僧も言っとったし、儂でも無理矢理とは思うが、『鉢』に絡んで容器の中にいる物で『液体』らしいのじゃ」
といって、忍は僕の机の上にある液体を指示した。あの危険物、『マッスルエクササイザー』を。
「元々は蜂蜜だとも言われておる。昔から女子は甘いものが好きじゃからの。蜂蜜に含まれる滋養効果からも生殖活動に絡まってきたのでは、とか何とか言っとった気がするわい」
「ローヤルゼリー、ってことかね」
と、僕は液体の入ったペットボトルをしげしげと眺める。マジもんの媚薬だったってことか。
「でも、コイツは飲んでないはずじゃ……」
「さてのう。関われば、もしくは容器越しにでも触れば、ということかもしれぬ。妹君曰くあの猿娘も確か興奮したとか話しておったろう?」
「ああ、そうか!神原は最低限容器には触れているって考えられるもんな。なるほど。……あれ?でも、そしたら月火ちゃんもってことに!?」
「ふむ、だったら、二人して来るのではないかのう。これも儂の推測じゃが、怪異のランクというところであろう。こちらの妹君は女王とはいえ蜂で、あちらの妹君は不死鳥であり、鳥じゃ。元々の相性としても最悪であろう」
「ああ、納得した。しかし、そしたら解決方法も自ずと決まってきそうなんだが」
まさにこれなんてエロゲ的な展開が目に見えている。兄として、それだけは回避しておきたい。僕と火憐ちゃんはあくまで仲が少しだけいいだけの兄妹なんだから。
「確かに、それでも構わんのじゃが。主様とはいえ死ぬと思うぞ?」
「へ?」
「小僧の言葉をまんま抜きとると『行燈蜂って、男の夢みたいなところがあるんだよね。まさに西洋で言うサキュバスみたいなものがさ。でもね、僕は出会いた いとも関わりたいとも決して思えないんだよ。だってさ、話によると妊娠が確認されるまで、女は性交を続けるらしいぜ?そりゃあ、最初は天国かもしれないけ ど、僕みたいなおじさんじゃ、良くて3回戦でアウトだろうね。それに、その怪異のオチは必ずと言っていいほど、男は《死ぬ》か《生涯枯れる》んだって さ。……あーあ、中身は約500歳とはいえ猥談を話してしまったよ。ごめん阿良々木君。どうやら僕のせいで次クールのアニメ化はないかもね。ハッハー』だ そうじゃ」
「確実に止めていただきありがとうございました、忍様!!!」
「な、何を急に謝ってくるのじゃ。べ、別にお前様の為に止めたんじゃないんだからねっ!勘違いしないでよ?お前様が死ぬかもしれないと思って、ポケモンの レポートをしっかり書きこんでから慌てて飛び出したとか、お前様が大好きであのツンデレ娘以外なら、儂にその操をくれてもいいじゃん、とかそんなの全然 思っていなんだからね」
「え、何ワンクッション入れてんだよ!?というか、あれ。その文章だと、あれ?」
ポケモンのレポートは結構時間がかかるんだよなぁ。ってそうじゃなくて、今忍はツンデレでテンプレのセリフを言って、それで、それでなんか違和感が……。
「うおお……、なんか修学旅行のテンションで思わず本当の気持ちを言ってしまった強気幼馴染の気分じゃ……」
「ま、いっか」
「うおいっ!!それでよいのか、お前様!!」
「いや、なんか疲れたし、さっさとこの件を終わらせて寝られるものなら寝たい」
だって、気がついたら3時回ってるもん。明日も夏休みとはいえ、予定は山積みなんだ。今日の勉強は怪異が関わった時点で諦めてるけど、睡眠は一応とっておきたい。眠くはないが、ホッとしたい。吸血鬼とはいえ心的に疲れるんだぜ?
そんな事を思っていると、忍が何故かイジけだしている。
「ふふん、いいもんいいもん。主様なんか、妹と乳クリアっとればいいんじゃ」
「乳はお前にとってのステージなのか?」
欲しがってそうだが。
「それで、どうすれば解決すんだよ。さっさと答えてくれ」
「最悪じゃ!!なんたる鬼畜ぶり!?」
「フッフッフ、今夜のテンションはやばいぜ。少なくとも素手でドラキーに挑めそうだ」
「ショボいのっ!?せめて、おおドラキーにしとけばよいものを」
「何、ジョーカーやってんだよ!!」
「フフン、もう既に最強の配合ともいえる、りゅうじんおうで無双しておるわ!!」
「世間では2出てるけどな」
「何……じゃと!?」
ということで、なんとか忍を誤魔……コホン、忍の機嫌を戻すことが出来た。多分。というか、忍自身が、
「まあ、簡単じゃな。毒を吸うんじゃ。また同じくこの前の様にのう」
と解決方法を教えてくれたから大丈夫だろう。しかし、
「だが、全部が全部そうはいかん。今回は、首じゃ。しかもうなじ。言うなれば、儂がお前様に吸血する時の様にじゃ」
噛まんではよいがの、と何所か不貞腐れたように忍は言ってきた。
「首か。なら、簡単だな。…………………………………ハッ!!」
僕はここで重要なことに気がつく。そうだ、これはやばいぞ。責任重大すぎる!!
006
「ごめん、待たせたな。準備が出来たから、ぬ、ぬぬぬ脱がすぞ……?」
「うん……焦らし過ぎだよ、兄ちゃん」
勿論、火憐ちゃんのいや、怪異の期待していることをするつもりはさらさらない。
僕は、ベッドの上に座り縄、アイマスクそして耳栓を付けている火憐ちゃんからアイマスク以外外し、耳元で先のように囁いた。火憐ちゃんも、かくりと頷 く。どこか息が荒い。きっとアイマスクを開けたら、涙で潤んだ視線を僕に向けることだろう。そう思わせるくらい、火憐ちゃんの表情はとろけていた。
僕は、深呼吸をしてから火憐ちゃんのパジャマを留めているボタンをはずしにかかることにした。
普通うなじにキスをするという時、普通なら服をはだけさせなければならない。どうも日本人は昔からうなじが好きなのかもしれないと思わせるほど、この場 合浴衣の方が楽である。勿論洋服の場合余裕がある服ならずらして、という手もある。僕だって、最初はそう思っていた。だからこそ簡単だと思った。だけど も、
「なんで、今日に限って小学生のパジャマなんか着てんだよ、火憐ちゃん」
つまり、余裕がないのだ。ずらすとしても、ダイビングスーツの様にゴムとかならまだしも、パジャマは当然のごとく布でギッチギッチになっているので難し い。肌蹴させようにも、小さい衣服はボタンの幅も狭い為、結果的に脱がせた方が早いのだ。そう、脱がせなければならないのだ!
ゴクリ、と生唾を飲む。そういえば、女性の衣服を脱がすというのは初めてではないだろうか。実際そうそうある体験ではないと思う。いや、目の前で脱が 『さ』せた経験ならあるのだが。勿論、びっくりイベントではあるけども女性の裸もみたことがある。それどころか、妹の体なぞ過ごしてきた日数を超えるくら いの回数見続けている。しかし、実際この場に立つと分かるのだが、女性の服を脱がすというのは、妹だろうがなんだろうがとんでもなく恐ろしいモノのよう だった。手が震える。只でさえ小さいボタンが僕の指の先で踊る。もう、医療行為などと開き直ってしまえればどんなに楽か。ああ、ホント出来る事ならそうし たい。でも、火憐ちゃんの荒い息が僕に否が応でも意識させてしまう。ああ、ようやく一個外れた。が、その時思いもよらぬアクシデントが起きる。
ブチブチブチブチブチブチ!!
「はあっ!?」
きっと、限界だったんだと思われる。僕がボタンを一個外してしまった途端、すべてのボタンが弾け飛んでしまったのだ!!気分は改めてレイプ犯のように思 えてきた。まるでナイフかなんかで切り取ったパジャマは丁度火憐ちゃんの胸を申し訳程度の隠す様に開いた布が乗っかっているような状態だった。風でも吹け ば、胸が全部あらわになることだろう。
「よし、これなら」
と、僕はこれならきっと大丈夫だろうと火憐ちゃんのうなじを開けようとする。
しかし僕も焦っていたようだった。
「のわっ!!」
「え、ちょっと兄ちゃん!?」
ドゴンッ!!
と大きな音がたってしまった。
どうやら、火憐ちゃんといえどもアイマスクを付けている為か、いつ何が来るか分からず脱力をしていたようで、僕が肩に手を掛け、服を脱がそうとした瞬間そのまま倒れこむように、まるで僕が押し倒したかのように床へと叩きつけてしまったのだ。
「ご、ごめんな。痛く、なかったか?」
「ううん、それは大丈夫だけど……。夏だから汗かいてたのかな、スースーするんだな」
「へ?」
まあ、当然のことだと思う。申し訳程度にあったパジャマと呼ばれた布は今の衝撃で、完全に外れてしまったのだ。そりゃあ、スースーするさ。だってお前、なんも付けてないもんな!!さっきもホントは思ってたけど、寝るときってブラ付けないもんなの!?
僕は、何回目になるか分からないが、また生唾をゴクリと飲んでしまう。
アイマスクを付けていると知っているからか、思わずマジマジと火憐ちゃんの双丘を眺めてしまう。なんとも火憐ちゃんらしく健康的なモノだと思ってしまった。きっと、もっと綺麗だとか美しいとか、言えたらいいんだろうけど、僕はそこまで気がつく人間ではないので、
「でかいな」
「や、やめてよ。兄ちゃん……」
と、なんともデリカシーのない事をいってしまう。まあ、勿論平均的な女子中学生の事を考えての感想だったから、ある意味冷静になってでの発言だったかもしれないが。
僕も、段々体が火照ってくるのを感じ始める。ドクンドクンと心臓が波打つ。あれ、僕はどうしてこんなに興奮しているんだ?何故、僕は我慢しないといけな いんだ!?思わず、いや誘われるままに火憐ちゃんの胸を鷲掴みにして下の服まで脱がせて体中舐めまして火憐ちゃんの声に興奮してそしてそしてそしてそし て!!!!!!!!!!!
「お前様っ!!」
「あっ!!」
僕はハッとして、火憐ちゃんの『え、誰の声?』という言葉を無視し、急いでうなじに毒吸いをした。火憐ちゃんはビクッとして声を漏らすとそのままパタンと気絶してしまった。
「全く、お前様はもっとテキパキやれないのかのう……」
「ああ、すまない。『呑まれる』ところだった」
いや、『促される』『流される』の間違いかもしれない。僕だって、半分は人間であり、間違いなく男なのだ。あえなく怪異にやられるところだった。火憐 ちゃんを犯す幻覚すら見せるのか……。恐るべし、行燈蜂というところである。僕も、忍がいなかったら、幻覚は現実へと変貌していくのだろう。よかった。恐 ろしかった。本当に、よかった……。
「大丈夫かの、お前様。……儂も舐めておった。てっきり女子への媚薬的な力がメインだと踏んでおったが、それよりも男へのマインドコントロールがその実というところだったようじゃの……」
「うん。やばいな。震えが止まらねえよ」
先程からの震えは、もしかしたら緊張の為ではなく、怪異からの精神侵食の抵抗の証だったのかもしれない。風邪による発熱みたいな感じで。しかし、よかった。もうそればかりだった。
『火憐ちゃんに哀しい思いをさせずにすんだのだ』。
只でさえ、こんな兄と契りを結んでしまい、あまつさえ妊娠まで持って行くのだ。それに、怪異譚には含まれてなかったようだが、きっと怪異はどんな手を 使ってでも『子供』を産ませたことだろう。僕らの様な自分の責任すら持て余す年齢からしたら恐ろしく、いいことなんてあるわけない。
勿論、もっと早くに気付いてやれればとか、もっと他の手とか手際よくやれたりとかそんな後悔もよぎってはいるのだが、兄としては、体裁を保ちつつ、悲願を成し遂げたのではないだろうか。
「よかった。よかった」
「そればっかじゃのう。フン」
全くもってお人好しじゃの、と軽く皮肉を言ってから、忍は僕の影へと戻って行った。
ああ、そうさ。最初っから僕のことなんか考えてないよ、忍。ずっと、火憐ちゃんの未来ばっかかんがえてたっつーの。
得意げに自慢げに僕は笑い、電源が切れたように僕はそのまま眠りについてしまった。
007
後日談というか後時談で、今回のオチ。
本当は蜂の話らしく、8章で終わらせるのがいいと思ったのだけど、また出てきそうだから、蜂からマイナス一生。
というか、今回のオチは僕がいかにうかつでバカでとぼけた野郎か、ってのをはっきりさせてしまうところがある為、出来る事なら語りたくないのだが、きっ と最初の月火ちゃんのプラチナむかつく度がどうなったかについて話しておかないと、きっとプラチナは目に見えない反応を発しながら燃え上がっていくだろ う。
なので、語る。臆病ものとは呼ばないでほしい。
「ほしい、じゃねーよ。はい、正座」
「はい」
「はい。ってちょっと待ってくれよ。月火ちゃん。このどこから持ってきたとも知れない石板は何!?そして何で僕の腿の上に重ねてくの?」
釘バットを持った月火ちゃんはガムかなんかをクチャクチャ言わせながら、僕の上にゆったりと焦らす様にというより重そうに石板を乗っけて行く。いや、マジで血管が止まる……。
簡単に言うと、あのまま寝てしまったということは、上半身裸である火憐ちゃんもそのまま眠っているというわけで、ホントうかつにもそれがわかったのが月 火ちゃんにいつも通り起こされ……るはずが、いつぞやのデジャビュか知らないけれど、釘バットが僕の側頭部を直撃しかけた時(勿論よけきった)に、瞬時に 理解した。ああ、今日僕の命日だって。
これくらいの脳の回転力が普段から欲しいものである、とか思っていると、月火ちゃんはヒロインであるなら絶対してはいけない睨みを利かせ僕に唾を吐く。ご褒美?んなわけない。
因みに火憐ちゃんはというと、触らぬ月火に拷問なしと、僕の隣で正座をしつつ、目も口も一文字に結んでいる。
「黙れ、下郎。あーあ、まさかお兄ちゃんが妹の操を破るクソ野郎だとは思わなかったなぁ」
「破ると言うな、生々しい。奪うと言え。というか、奪ってもいない!!信じてくれ、月火ちゃん」
「はい、火憐ちゃんは?」
発言権を得た火憐ちゃんは、封印を解かれた石像のごとく、ゆっくりと口を開き始める。
「いやー、なんか全然覚えてないんだよね。そもそも、なんで兄ちゃんの部屋にいるかも曖昧で」
どうも、火憐ちゃんには昨日の記憶がないらしい。僕個人としてはホッとするものもあるのだが、しかし今は兄の無実を覚えておいてほしい。
「な、ナンテコトッ!?火憐ちゃんがショックのあまり記憶を失ってしまっているなんて!!」
「ワザとらしい驚きはいらないから!!大体、確認すればいいんじゃねえかぁ!?」
「最低」
「グハッ!!」
冗談で言ったのに(この状況で冗談の言える僕も凄いが)、女子の『最低』は心に来るものがあるぜェ……。そして、もう一枚通算三枚目の石板が乗っけられていく。
「死……ぬ……」
「は、死ねば?いらないよ、妹を白濁に染め上げるお兄ちゃんなんて」
「言い方が卑猥だ!?」
「うるさいよ、お兄ちゃん。はーい、裁判をしまーす。判決全文、お兄ちゃん死刑」
「後文含めちゃった!?こ、控訴させろ!!」
「却下。だって私、最高裁だもん。憲法だから」
グリグリと、石板に力を入れて行く。Sだ、Sッ娘リリカル月火ちゃんだ!!や、やばい。いい加減血液が回らなくなってきてる……。吸血鬼はどうやら呼吸系のみならず循環系でも死ぬらしい。今、なんとなくわかった。
「ま、待ってよ!月火ちゃん」
「なに、火憐ちゃん。プレステ4が出るまで待ってて」
「長っ!!じゃなくて、いいよ、やっぱ確認した方が早いよ」
「火憐ちゃんまで……」
「だって、ただ半裸で歩き回って、兄ちゃんと寝ただけかもしれないじゃん」
普通に痴女っぽい行動だな。
「だから、いいよ……?」
「ごくり、はあはあ……」
「なあ、僕よりこのSッ娘が捕まるべきなんじゃないのか?」
「うるさい、プ・ラ・チ・ナムカつくっ!!!」
「いだいっいだいっいだいっいだいっ、いだああああい!?」
人権を求めた先人の偉大さを身に染みた僕である。
結局、火憐ちゃんは月火ちゃんの部屋に連れられ、確認をすることになった。妙に艶めかしい声が漏れてくるのは気のせい。きっと気のせい。というか、証拠隠ぺいしてないだろうな……。
五分後、月火ちゃんは戻ってきた。
「あれ、火憐ちゃんは?」
「私の部屋で寝てる」
「へえ、そうか。それで僕の無実は証明されたのかね」
と、僕は老紳士風にキザな感じで、尋ねる。すると、月火ちゃんは溜息をついた。
「それがね」
「おう」
「思い出したんだけど、火憐ちゃんの処女膜はとっくの昔になかったんだよね」
「な、なんだと!?ちょっと待て!どういうことだ。どこぞの馬の骨に奪われたってことか!?ブッ殺しに行く!!拘束をほどけー!!!!!!!」
「おおう、ガチな反応。まあこれでお兄ちゃんの無罪は証明されたのかな?灰色くらいに」
「へ?」
「だって、有罪なら『確かに血が出てたのに!?』とか『ああ、だろうな』とか冷静に返してたと思うもん。正解をお兄ちゃんが『知らない』んだから、無罪ってこと。まあ、灰色なのは、お兄ちゃんが実は今演技してたって場合もあるからだけどね」
「う、確かに……」
「まあ、ないのはホントだけどね」
「なっ!!」
「全く、お兄ちゃんは女の子の体に無知すぎるよね。あんなにエロ本読んでるのに。そんなんだから火憐ちゃんに布団を掛けずに眠りこんじゃったんじゃない?」
「う、面目ない。だ、だけど、それと何が関係あるんだよ」
「まあ、最近の保健体育ではあまり詳しくやらなそうだけど、処女≠処女膜が損傷していないにはならないの。激しい運動してるとあれ、簡単に破れちゃうんだもの」
「へ、そうなのか?」
「そ。だから、昔から空手なんかやってる火憐ちゃんは既に損傷してなくなってたってわけ。安心した?」
「……ああ。それじゃ、外してくれるんだよな?」
おい、そこの小さい妹。なんでって首を傾げるなよ。
「だって、灰色だもん。留置所くらいにはいてもらわないと」
「留置所はこんな拷問器具なんて置いてない」
「じゃあ、罪を贖う方法を教えてあげよう」
「潔白なのにな……」
なんか、冤罪とかガチで酷いとか思い始める僕。
「んじゃ、目つぶって待っててね」
「はあ?」
そう言って、僕にアイマスク(今朝まで火憐ちゃんに付けてた奴)を付けて、どっかに行ってしまう。それからしばらくして、ドタドタと騒がしい音が聞こえてくる。二人、か?
「じゃあ、見ててね?」
「えー…、普通に無感情に見たくないんだけど」
「まあ、それも含めて罰だからねえ」
と、火憐ちゃんの声に月火ちゃんがのんびりとした口調で返す。
そして、生温かくて柔らかいモノが口をつつく。そして、もっと柔らくて湿った何かが唇を突っついたりなぞったりして僕の口内へと侵入してくる。ピチャピ チャと水音だけが聞こえてくる。肝心の口元の感覚が既に麻痺っていた。な、なんなんだ?この感じ。これってまさか、ヶ原さん曰くのあれじゃ……?
「ふぅ!!」
と、月火ちゃんの声がする。と同時に僕のアイマスクが外れる。まぶしく目を瞬かせながらも、視界に入ってきたのは、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてる火憐ちゃんと口を拭っている月火ちゃんだった。
「はい、罰しゅうりょ〜」
と、石板をずらし、僕は解放される。そのまま僕は倒れこむ。横目には鼻歌を歌いながら部屋を出て行く月火ちゃんがいた。
「もう、オイタはしちゃダメだよ?」
じゃないと、殺すからとでも言いたげな黒い笑顔を僕らに向け自分の部屋に戻って行った。
「な、なんだったんだ。あれは……」
「わかんない、月火ちゃん曰く罰だかなんとか……」
嵐、としか言いようがなかった。というより、落ちる気配が全くしない。むしろ、堕ちて行きそうだ。
「ねえ、兄ちゃん」
「ん、なんだよ」
「よく覚えてないんだけどさ。兄ちゃんってアタシの事助けたりなんかした?」
「ああ?いつも助けてやってばっかじゃねえか」
「そうじゃなくて!昨日の事!!」
珍しく、火憐ちゃんがヒステリックになっている。どうしたんだ、一体。
「昨日の夜。何があったかよくわかんないけど、とりあえずありがと」
「おお」
ぼんやりと答えとく。とりあえず返事だけはしておく。
すると、火憐ちゃんは急に元気になって、俺に二カッと笑顔を向けてくる。
「ああぁ!!!すっきり、したっ!!なんかモヤモヤしてたんだよなあ!!寂しん坊の月火ちゃんもアタシの話ちゃんと聞かないんだもん。挙句の果てにベロチューしてるし意味わかんなかったぜ」
「なっ、寂し……。いやいやそれはさておき、さっきのしおらしい火憐ちゃんはどうしたんだよ!」
僕も、思わず体を起こしながらツッコむ。
「なんだよ〜、兄ちゃん。ああいうアタシが好きなんか〜?」
「ち、ちげ―よ!!ああ、クソうざいなっ!お前らなんか嫌いだ、ばーか」
「ツンデレツンデレ」
「うっせー!!」
「……兄ちゃん」
すると、火憐ちゃんは急に真顔になって僕を見つめる。表情がころころ変わる奴だ。それでも僕は驚いてポカンとしてしまう。
「なんだよ」
「えっへっへ〜」
と、火憐ちゃんは急に僕に抱きついてきて、キスをした。
余りに早くて、余りに彼女らしくて、まさに可憐で、彼女を凌ぐことはできなかった。
「大好きだぜ、兄ちゃん!!」
そう言って、どこか照れくさそうに僕の部屋を出て行った。
実は、これちょっとした阿良々木家の序章である。オチどころか起こりでありエピローグどころかプロローグである。何のと聞かれても僕にはわからない。
だって、羽川にこの事を話したら、じゃあこの件がきっと序章なんだよ、と彼女らしく知的な表現をされてしまった為、なんとも僕は表現できないのだけど、 強いて言うならば、二人が妙に積極的に僕に絡んでくるようになった気がする。というか箍が外れた?とか八九寺も言っていたような。
まあ、偶にはいいだろう。これだってまさに、凌げない物の一つじゃないか。
なんてことない身内の内輪話に、オチなんてあるわけがない。
後書き
さて、今回はオリジナルの怪異を作ったわけですけど、どうでしたでしょうか?R18の同人あたりで使い尽くされてるかなww
ついでなので、改めて詳しい設定を。
忍「む、儂がやるのかの?まあよいわ。
行燈蜂。
またの名を『誘致蜂』『針促し』『誘い蜂』『攫い女(むすめ)』などと呼ばれておる。
形状は蜂ではなく『液体』の形をしておって、その由来は鉢に溜めた蜜からとされるのう。それだったら行燈壺とかの方がよいとおもうんじゃが。
因みに今回、液体の摂取だけでなくその容器に触れることでも憑かれることも分かった。フン、小僧に一泡吹かせたと言う所じゃのう。
男を誘い、攫い、そして性交を促す。いうなれば媚薬の様な怪異で、女にしか憑かん。
しかし、その実は乗っ取った者の体からフェロモンを発し、男の理性を刈り取る物で、本人の魅力と考えるのは、男の勘違いじゃ。いつの世も、男はバカじゃのう。
まあ、女にも多少は発情作用があるらしくての。普段ではあまり見られない行動をして男を誘うそうじゃ。
恐ろしいところは、その怪異自身の子を孕ませるといったエグいモノはないんじゃが、代わりに女の妊娠が確認されるまで、腰を振り続けるなんて事がある。
まあ、実際そんなのはある意味最悪の痴女伝説みたいなところもあると思うんじゃが、怪異譚のオチは男が『死ぬ』か『枯れる』、『干からびる』なんて者ばかりの様じゃのう。
女のオチについての記載がないところを見ると、案外男より女の方が丈夫だと言うことか。カッカッカ。
ああ、そうじゃ。最後に一つ小僧がつけたしとったのを思い出したわい。
『ああ、そうそう。これって実は男には害があるけど、女の子にはむしろ願ったり叶ったりってところもあるんだよ。元々この怪異って、女王になるのを嫌がっ た働き蜂が他の何かに自分の繁殖能力を分けようとした所から、この怪異譚は始まるんだ。話に巻き込まれていくヒロインは皆内気だったり、どうあっても結ば れない恋をしている娘ばっかりなんだよ。つまり、この怪異は恋愛の後押しをしてくれるっても言われてるんだよね。だから、男は理性を刈り取られて、何にも 分からなくなっちゃうけど、女の子の方は、実は自我があって、むしろ気持ちをおおらかにしてしまうんだ。ま、お酒と一緒かなぁ。あ、忍ちゃんも利用した いって思う所もあるんじゃないの?ハッハー、そんな睨まないでよ、冗談だって。全く、何かいい事でもあったのかな』
なんだそうじゃ。今思いだしたらムカつくところじゃが……。
ま、後は分かる所じゃろ?
ふぅ、疲れたのう。今回は出血大サービスじゃ。吸血鬼なのに。
とりあえず、我が主様にミスドでも買ってきてもらおうか。
では、またの。」
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2012/04/15 |
- 物語シリーズ |
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「こうです!」「わかりません!!」「このポーズは就職で有利です!!」byナツメブラザーズ!
八雲です。
練習がてら、なんかのキャラでもやろうかしら。
試しに日向くん。
よーっす!!皆のひなっちだぜい?
……んだよ、その眼はー!俺だって台本でやってんだよ。普段は理系キャラなんだぜ?眼鏡クイッとしてんだぜ!?
え、なんだよゆりっぺ。さっさと進めろって?はいはい、わかりましたよ。
で、久しぶりに更新されたこの暁の八雲なわけなんだけどさ。
まあ、理由があるわけよ。聞くも涙言うも涙な理由が。
しかーし!
時間もないからぶっちゃけよう!!
ってまたか、ゆりっぺ?その前振り意味ないじゃない。音無君に変えてもいいかしら?だって!?
よほほい!!待ってくれよ、ゆりっぺ!!
真面目にやるから!もう主人公の降板には飽き飽きなんだって。TrackZeroだけで十分だっつうの!!
……っはあ、要は、いつも書いてた『小説家になろう』で大改革があってな。具体的に言うと、大体の作品の二次創作を強制削除しちまうっていう神様もびっくり仰天トンデモ改革ってわけだ。
おい、大山寝るなよ!お前のネタだしてやったんだから!それに俺頑張ってんだからさー。
つーわけで、こっちに逃げ込んできたってわけよ。むしろ舞い戻って来たってくらい期間が開いてるんだけどな。
ん、音無。どうした、そんな歯になんか引っかかったみたいな顔して。
え、俺達は移動しない?移動するのは物語さんのところだけ?
……なんじゃそりゃあああああああ!!!!????
お、おい!!ゆりっ……ぺ?あ、アイツ何時の間に逃げてやがる!?
ちっくしょー、赤っ恥じゃねえかよぉ……。
はあ、ったく。しゃあねえなあ。
こほん、とりあえず、俺達は移動しない事になりましたが、ここに移動してくる化物語シリーズの奴らやあっちで連載続行中の俺達の事をこれからも応援してってくれると助かるぜ!!
そんじゃ、また会える日まで。じゃあな、親友!!!
ふぅ、疲れた。
まあ、日向君の結う通りなので、こっちでじわじわ更新していこうと思ってますので、ヨロシコ!!
練習がてら、なんかのキャラでもやろうかしら。
試しに日向くん。
よーっす!!皆のひなっちだぜい?
……んだよ、その眼はー!俺だって台本でやってんだよ。普段は理系キャラなんだぜ?眼鏡クイッとしてんだぜ!?
え、なんだよゆりっぺ。さっさと進めろって?はいはい、わかりましたよ。
で、久しぶりに更新されたこの暁の八雲なわけなんだけどさ。
まあ、理由があるわけよ。聞くも涙言うも涙な理由が。
しかーし!
時間もないからぶっちゃけよう!!
ってまたか、ゆりっぺ?その前振り意味ないじゃない。音無君に変えてもいいかしら?だって!?
よほほい!!待ってくれよ、ゆりっぺ!!
真面目にやるから!もう主人公の降板には飽き飽きなんだって。TrackZeroだけで十分だっつうの!!
……っはあ、要は、いつも書いてた『小説家になろう』で大改革があってな。具体的に言うと、大体の作品の二次創作を強制削除しちまうっていう神様もびっくり仰天トンデモ改革ってわけだ。
おい、大山寝るなよ!お前のネタだしてやったんだから!それに俺頑張ってんだからさー。
つーわけで、こっちに逃げ込んできたってわけよ。むしろ舞い戻って来たってくらい期間が開いてるんだけどな。
ん、音無。どうした、そんな歯になんか引っかかったみたいな顔して。
え、俺達は移動しない?移動するのは物語さんのところだけ?
……なんじゃそりゃあああああああ!!!!????
お、おい!!ゆりっ……ぺ?あ、アイツ何時の間に逃げてやがる!?
ちっくしょー、赤っ恥じゃねえかよぉ……。
はあ、ったく。しゃあねえなあ。
こほん、とりあえず、俺達は移動しない事になりましたが、ここに移動してくる化物語シリーズの奴らやあっちで連載続行中の俺達の事をこれからも応援してってくれると助かるぜ!!
そんじゃ、また会える日まで。じゃあな、親友!!!
ふぅ、疲れた。
まあ、日向君の結う通りなので、こっちでじわじわ更新していこうと思ってますので、ヨロシコ!!
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2012/03/16 |
- 日記 |
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